東京のお祭りと言えばまず頭に浮かぶのが浅草で5月に開催される『三社祭(さんじゃまつり)』ではないでしょうか?
この東京の初夏を彩るお祭りと同じ名前の演目が日本舞踊にもあるんです!
活気のあるのは浅草で開催されるお祭りだけではありません。
軽快でとてもリズミカルなこの踊りを見たらきっと楽しめる作品です。
今日は、歌舞伎や日本舞踊でよく踊られる『三社祭(さんじゃまつり)』に注目していきたいと思います。
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三社祭(さんじゃまつり)の歴史
解題 | 弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり) |
初演 | 1832年3月 江戸中村座初演 |
種類 | 清元 |
作詞者 | 二世瀬川如皐 |
作曲者 | 二世清元齋兵衛 |
振付 | 藤間勘十郎 |
役者 | 善玉/四世坂東三津五郎 悪玉/二世中村芝翫 |
お祭りと言えばにぎやかなイメージですよね。
まさにその活気を表した舞踊作品となっています。特に浅草の三社祭(さんじゃまつり)の活気の良さと言ったら…
それではどんな舞台面で踊るのか見ていきましょう。
三社祭(さんじゃまつり)の舞台面は?
舞台面(大道具)
大道具は江戸浅草の宮戸川岸が背景です。
この頃の浅草は河も広く海のようであったため河波だけの景色を飾った場面で常に使用されていたそうです。
小道具
置き道具として船。
船を動かすための『かい』や漁師の商売道具『あみ』を使います。
後半は『善悪のお面』、『善悪の扇子』や『手ぬぐい』をつかって踊ります。
衣装
善玉、悪玉共に動きやすい漁師の格好です。
後半の善玉、悪玉の踊りでは両肌を脱ぐと善玉は浅黄色、悪玉が黒色の衣装となります。
善玉、悪玉とのお面も使うので衣装だけでも移り変わりが楽しめる作品だと思います。
次は実際に『三社祭(さんじゃまつり)』がどういった踊りか見ていきましょう!
三社祭(さんじゃまつり)とはどういった踊り?
浅草の三社祭(さんじゃまつり)を舞踊化した作品です。
漁師の桧前浜成、武成を暗示した漁師姿の山車人形二人を表したの速いテンポの踊りがあります。
そして天から降ってきた善玉、悪玉に魅入られ善悪を象徴する振りを見せてくれます。
洩れぬ誓いや網の目に~
漁師2人は船の上で方や櫂(かい)を握り、もう一方は網(あみ)を手に漁をしている。
今日の獲物にありつけるのも浅草観世音様のお陰であるというお礼の踊りや、漁師さながらの日常を場面とした始まりである。
そなた思えば~
こしみのを外したのち、流行り歌に乗せてリズミカルに2人踊りをします。
2人のコンビネーションが試される場面なのでここの踊りは前半の肝と言えるでしょう。
かかる折から虚空より~
上空から善悪と書かれた黒い雲が現れます。
ここで二人のセリフが…
悪玉『蒟蒻玉か金玉か』
善玉『なんでも怪しい二つの玉』
悪玉『こいつはぁ』
両人『けうだわエィ』
と不思議な黒雲の出現により両人の櫂(かい)の踊りとなります。
悪に取っては~
両人ともに善悪のお面をつけて踊る場面。
悪づくしと言われる悪の字がついた人物を集めた踊りとなる。
悪禅師、悪源太、そして源太つながりで梶原源太の恋人が蛭地獄へ落としたという昔ばなしへと移り変わりクドキとなる。
それが厭さに気の毒さに~
太夫と三味線弾きを真似た振りよりクドキに入ります。
クドキとは恋模様を描く場面。
ほとんどの日本舞踊の構成で挿入される踊りの一部です。
『三社祭(さんじゃまつり)』では悪玉が手ぬぐいを首に巻いて男役、善玉が手ぬぐいを頭に乗せて女役を演じます。
ここの振りは通常の恋模様とは違いどこかコミカルな雰囲気のクドキなので、見ていても楽しい場面でしょう。
兎角浮世は~
手ぬぐいを使った二人踊りとなります。
前半の二人踊りと同じく息の合ったコンビネーションが試される場面なので、一人踊りとは違った楽しみ方ができるでしょう。
早い手玉や品玉の~
いよいよクライマックスの善悪の模様の扇子を使った踊り地となります。
衣装も善玉、悪玉ともに両肌脱ぎとなり、善玉は浅黄色(水色)悪玉は黒色の衣装と変わります。
ココがおすすめ
踊りも扇子をつかって軽妙に飛び跳ね、軽業の如き踊りを繰り広げます。
リズミカルでテンポも速く、善悪お面もしたまま踊るため息も苦しく、非常に体力が試される踊りです。
踊り終わって善悪のお面を取り決まったら、大きな拍手で称えましょう。
現在の中村勘九郎、七之助の兄弟がまだ若いころ歌舞伎座で演じているのを拝見しましたが、三味線のノリが異様に早く通常ではありえないスピードで踊っていたのがとても印象的でした。
謡うも舞うも法の奇特に~
二人とも櫂(かい)を手に取り船に乗り屋台囃子にてにぎやかに終幕します。
三社祭(さんじゃまつり)まとめ
皆様いかがでしたでしょうか?
場面ごとに踊りの内容も変わるこの『三社祭(さんじゃまつり』という踊りは、初めて見たとしても楽しめるような演目となっています。
最初はもちろんストーリーなどは見えないでしょうが、そのコミカルな動きやリズミカルで軽妙な踊りはインパクトが強くきっと強い印象を与えてくれることでしょう。
先ほどにも書きましたが、お面をつけて踊るのは非常に体力を使います。
なので是非お面を取った場面では大きな拍手で迎えてあげると演者もやり切ったとして気持ちの良い舞台になると思います。
それではまた次回にお会いしましょう!