日本の伝統的な衣服と言えば『着物』ですね。
男性は正装として紋付の着物に袴を着用します。
子供のころの七五三のお祝いを思い出してみてください。
男の子は袴を履いて、女の子は振り袖姿で写真を撮ったのではないでしょうか?
女性の場合は年齢や場面によって袖の長さが変わりますが、男性の場合は袴着用が基本となってきます。
舞台で踊る場合、日本舞踊では正装の格好で踊るのが基本となります。
歌舞伎などは昔ながらの衣装と鬘(かつら)、そして顔の化粧も白塗りなどで舞台に立ちます。
もちろん日本舞踊でも衣装を着ける場合ではそのような格好をしますが、今回は衣装をつけない『素踊り(すおどり)』という形式について話していきたいと思います。
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素踊り(すおどり)とは?
結論から言うと、『素踊り(すおどり)』は衣装を着けずに男性の場合、紋付の着物と袴で、女性の場合は紋付の着流しで踊ることを指します。
どの演目で衣装をつけるのか?はたまた『素踊り(すおどり)』で踊るのか?はすぐに理解することは難しいかもしれません。
日本舞踊の演目は非常に多く、この記事で説明するのは難しいですが、演目による例を何通りかご紹介しましょう。
衣装付きの演目一覧
衣装付き
・越後獅子
・鷺娘
・小鍛冶
・鏡獅子
・京鹿子娘道成寺
・二人猩々
・本朝二十四孝
・将門
・棒しばり
・吉野山
・正札付根元草摺引
・その他色々な演目
今回ここで紹介した衣装付き一覧の中でも、日本舞踊のおさらい会などでは『素踊り(すおどり)』で踊る場合もあります。
基本的には衣装付きの演目をざっとあげてみました。
素踊り(すおどり)の演目一覧
素踊り(すおどり)
・七福神
・松の緑
・北洲
・廓八景
・老松
・鶴亀
・卯の花
・青海波
・山姥
・梅の春
・その他色々な演目
『素踊り(すおどり)』で踊る演目はざっとこんな感じでしょうか。
もちろんここで挙げた以外の演目もありますが、今回は割愛します。
衣装付きと素踊り(すおどり)で踊る演目の違いとは?
『素踊り(すおどり)』でしか踊らない演目で言えることは、多くの作品が『御祝儀物(ごしゅうぎもの)』であることです。
能楽を元に作曲されているものが多く、祝い事などの場面で踊られる作品です。
日本舞踊の会でいうと襲名披露や、幕開きと呼ばれる一番最初の演目に『御祝儀物(ごしゅうぎもの)』が踊られます。
逆に衣装付きは歌舞伎からきている作品や、狂言物、芝居のものなどは基本衣装をつけるようになります。
日本舞踊の練習発表会などでは衣装を着けずに踊ることもあります(例:越後獅子や吉野山など)。
紋付の着物と袴を着た男性や紋付の着流しの女性が踊る場合は『素踊り(すおどり)』なんだな…と思ってもらえれば最初は良いと思います!
素踊り(すおどり)の難しさ
『素踊り(すおどり)』で表現するのは非常に難しいんです。
なぜならば…
生身の体ですべてを表現しないといけないからです!
衣装をつける場合は格好がそれなりに仕上がってしまうと、その様に見えてしまいます。
本格的な衣装を身につけるということはそういった恩恵もあるんですが、『素踊り(すおどり)』はそうはいきません。
色々なキャラクターを踊りわけないといけないですし、衣装などにも頼れないので日本舞踊家としての技量が試されます。
逆に『素踊り(すおどり)』できっちり踊れるようになれば、衣装をつけて踊るとさらに見栄えが良くなることは間違いありません。
日々のお稽古は着物一つでおこなうので、毎回のお稽古を一生懸命やることで『素踊り(すおどり)』も上手になっていくことでしょう。
最後に…
本格的な衣装をつけて踊るのも日本舞踊。
そして『素踊り(すおどり)』の体一つで踊りわけ、演じるのも日本舞踊。
両方とも見所があることを覚えておきたいですね。
今回のこの記事を読んで『素踊り(すおどり)』という単語を覚えてもらえるだけで、私は満足です。
こういった小さな情報の積み重ねで日本舞踊をもっと楽しんでもらえれば幸いです。
少し硬くなりましたが今回は『素踊り(すおどり)』についてご紹介させていただきました。
それではまた次回に!