普段皆様はどういった音楽を聴きますか?
J-POPや洋楽、今では韓国の音楽も人気ですよね。
私は学生のころから洋楽が好きで、今流行りのQUEENなんぞもよく聞いていました。
こういった現代音楽を耳にする機会しかない時代ではありますが、三味線の音色、太鼓の音、お祭囃子の笛の音などを聞くと何とも言えない心地よさを感じませんか?
今日ご紹介する演目『島の千歳(しまのせんざい)』は『鼓調(つづみちょう)』といった形式がうけて流行し、音楽としても楽しめる素晴らしい作品です。
それでは見ていきましょう!
Contents
島の千歳(しまのせんざい)の歴史
初演 | 1903年両国中村楼 |
種類 | 長唄 |
作詞者 | 大槻如電 |
作曲者 | 杵屋勘五郎 |
振付 | 坂東三津五郎と言われている |
元々は長唄の演奏会のみで用いられていた『島の千歳(しまのせんざい)』。
坂東三津五郎氏が初めて振付をして発表したとされています。
しかし各流派それぞれの振りや演出も残っている作品でもあります。
時は平安時代。『島の千歳(しまのせんざい)』とは『白拍子(しらびょうし)』の祖と呼ばれる人の名前です。
白拍子(しらびょうし)とは?
平安時代に流行った舞を踊る女性のことをそう呼びます(当時男性の白拍子もいたが女性が多かった)。
元々は巫女が布教のため各地を転々とし踊っていた巫女舞が原点ともいわれている。
水干に烏帽子、そして白鞘巻きの男装をした女性であり、当時『白拍子(しらびょうし)』は遊女としての側面もあったため、権力者に寵愛されていました。
江戸時代の遊女とは違い、とても神秘的な雰囲気をもった舞を踊ります。
その『白拍子(しらびょうし)』の元祖が『島の千歳(しまのせんざい)』なのです。
ここで格好などの話も少ししてしまいましたが、次にどんな景色、舞台面で踊っていたか、そして衣装や小道具なども見ていきたいと思います。
島の千歳(しまのせんざい)の舞台面は?
舞台面
衣装付きの場合は写真にもあるように欄干などが見える厳島の清盛館内のような景色に。
素踊りで踊る場合は上記図のような屏風張りになります。
小道具
・烏帽子
・中啓(ちゅうけい)
・六骨(ろっこつ)or舞扇(まいおうぎ)
・大刀
各流派の演出によって六骨になるか舞扇を使うか変わってくるでしょう。
中啓(ちゅうけい)
公家や武家が笏(しゃく)のように持ち儀礼の際にしようされていた扇子である。
通常の舞扇よりも折りたたんだ状態で上部が開いているため『中ば啓く(なかばひらく)』ということからこういった呼び名になった。
時代背景が平安時代の舞踊作品はたびたび『中啓(ちゅうけい)』の出番が出てくることが多い。
衣装
水干(すいかん)に白地の衣装が多い。
帯は振下げ。
途中で烏帽子をとると鬘(かつら)は根とりのさげ髪となります。
白拍子の格好として覚えておくとよいでしょう。
島の千歳(しまのせんざい)とはどういった踊り?
踊りの内容は当時流行した今様という唄で舞い踊るというものになります。
元々は巫女からきているだけあって神秘的で格式高い白拍子の舞となっている。
丹頂緑毛の~
七々扇流では基本上手の板付きにより幕明けとしています。
又演出によっては『花道すっぽん』よりせり上がりをすることもあります。
板付き
板付きとは幕が開いた時、舞台上にいることを指します。
鼓(つづみ)と唄に合わせて白拍子(しらびょうし)の舞を踊る場面です。
特徴としては鼓(つづみ)にあわせておこなう足拍子でしょう。
四方のしき波立つか~
波立つ景色を思わせる場面。
波模様を舞として表現し、水が引いたり立ったりする様を踊っています。
歌詞はこのようになっています。
水をテーマとした踊りになるので、振りにも表れています。
月影流もるなる~
踊り地は烏帽子、水干をはずして踊ります。
扇子も中啓(ちゅうけい)から舞扇に変えます。
踊り地ということで三味線のテンポも速くなり、白拍子(しらびょうし)というよりは通常の舞踊に。
ココがポイント
三味線の音に合わせながら、鼓(つづみ)の音で拍子をとって踊ります。
特にここの場面での足拍子はリズミカルでいて激しくなっていくので見ごたえがあるでしょう。
そして女性らしさを忘れずにしなやかに踊らないといけないので、技量も試されます。
島の千歳(しまのせんざい)まとめ
『島の千歳(しまのせんざい)』は鼓(つづみ)の音が非常によく聞こえる曲となっています。
そのため振付には足拍子が入る場面も多く、リズミカルでいて格式高い白拍子(しらびょうし)の舞となるので、見やすい日本舞踊と言えるでしょう。
ちなみに素踊りで踊る場合は男でも踊ることがあります。
三味線と鼓(つづみ)の調和が素晴らしい『島の千歳(しまのせんざい)』。
是非見かける際がございましたら、存分に『白拍子(しらびょうし)の舞』を楽しんでください!
それではまた!